大人の矯正治療の種類

大人の矯正治療の表側矯正(マルチブラケット)、舌側矯正(リンガルブラケット)、マウスピース型矯正装置(インビザライン)についての特徴を以下にまとめました。

表側矯正(マルチブラケット)

表側矯正(マルチブラケット)

数ある矯正の中で、最もオーソドックスな矯正治療です。

歯の表面に「ブラケット」を取り付け、それをワイヤーで繋ぎ、時間をかけて歯並びを整えていく治療法です。

メリット

★ 歯をコントロールする力に優れているため、⽐較的精度の高い治療が可能です。

★ 装置をつけたときの違和感や話しにくさなどが少ない治療です。

★ ⽐較的幅広い患者様に対応している治療です。

デメリット

★ 歯の表側に装置をつけるため、他の矯正治療に⽐べて目立ちやすいです。

*最近では矯正治療をしていることがわかりにくい装置など、バリエーションも豊富になっています。

治療の流れ

①奥歯にすき間を作る
奥歯にゴム(セパレーティングモジュール)を入れて、すき間を作ります
②バンドの装着
奥歯に金属の輪(バンド)を装着します
③ワイヤーの装着
それぞれの歯にワイヤーを固定するための装置を接着し、上あご全体にワイヤーを装着します
④ワイヤーの調整
上あご、下あごそれぞれに装置の装着が完了したら、4~6週間に1回のペースで通院し、歯の動きに合わせてワイヤーを調整していきます。(治療期間は早い場合で1年前後、通常2年~2年半程度です)
⑤保定装置の取り付け
歯並びがキレイに整ったら、保定装置という取り外し可能な、歯並びの後戻りを防ぐ装置を2年程度つけていただきます

舌側矯正(リンガルブラケット)

歯の舌側に装置をつけて行う矯正治療です

歯の舌側側に矯正装置がつけられた状態・舌側矯正(リンガルブラケット)

メリット

★ 周囲の方に気づかれずに矯正治療をすることが可能です。

★ 上あごのみ舌側、下あごは表側に装置を装着することも可能です。その場合、目立たず・上下舌側で治療を行うより、費用を抑えての治療が可能です。

★ 表側に装置をつけて行う治療と、治療期間はほぼ同じです。

デメリット

★ 表面の矯正治療に比べて、費用は高くなります。

★ 舌側に装置をつけるため、口の中の違和感や話しにくさが1カ月程度ある方もいらっしゃいます。

マウスピース型矯正(インビザライン)

マウスピース型矯正装置

付け外しが可能なマウスピース型の矯正装置です。

仕事の都合や、周囲に気づかれずに矯正治療をしたいという方で、装置を付け外しされたい方には、最適な治療です。

歯を少しづつ動かすようにマウスピースをはめ替えてゆきます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の特徴は他のマウスピース型装置を用いた矯正と比較し歯の動きがあらかじめシミュレーションされているという点です。

歯の型取りを行いこの型をスキャニングすることでデジタルデータ化し、クリンチェックというシミュレーションソフトで歯の動きをシミュレーションします。

歯の動きは1ステップ最大0.25㎜でと決まっているため、マウスピースの枚数により期間が違います。


また、『マウスピース型矯正装置(インビザライン)』はアタッチメントといった歯に接着する出っ張りを設定することで歯の動きをできるだけ精密に行うように設計されています。

また、歯を動かすことは他の矯正と同様なので矯正用ゴムを使用したりすることもあります。

特徴①歯を抜かずに歯並びをキレイにする可能性をあげる!

永久歯の抜歯を行う必要があるケースにも対応が可能な点も他のマウスピース型装置を用いた矯正より優れている点であると考えられます。

特徴②歯科医師の技量により治療の結果に差が出る!

ワイヤーによる矯正治療と同様に歯の動かし方の設定、治療方針は歯科医師により異なり、経験が重要になります。どの医院でも同じということはありません。


さらに、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を用いた矯正はどのようなケースにも対応できるわけではありません。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)を用いた矯正に向いているケース、不向きなケースがありますので多くのケースを経験していることが必要です。

特に抜歯を行うケースは歯の動きのステップをきちんと設定しておかないと、マウスピースの不適合が出やすく、装着状態が悪いと早い段階で以降のマウスピースを作り直す必要が出てくるので注意が必要です。

メリット

★歯磨きも通常通り行って頂けますし、装置も洗浄できるので大変衛生的に保って頂けます。

★矯正装置が透明なので、付けていても目立ちません。

★今まで、金属アレルギーが原因で矯正治療をあきらめていた方でも安心して治療を受けられます。

デメリット

★装着時間が短いと充分な効果が得られないことがあります。

治療の流れ

①歯型を取る
口腔内スキャナーでスキャニングしデータをインターネット経由で送信しています。
②シミュレーションの作成
アラインテクノロジー社にて、型をもとに歯の動きのシミュレーションを作成してもらいます。
③シミュレーションの調整
アラインテクノロジー社が作成したシミュレーションをドクターが確認し、数回修正・調整の指示を出します。
④シミュレーション内容のご説明
定期的に(4~6習慣に1回)通院していただきながら、歯の動きに合ったマウスピースに順次交換していきます。(治療期間の目安は約2年間です)

*歯科医院によっては口腔内スキャナーがない歯科医院もあります。

マウスピース型矯正装置を用いた矯正について

マウスピース型矯正装置(インビザライン)はオーダーメイドの装置となります。


オーダーメイド(特別注文)された矯正装置は、1人1人の歯の形に合わせて装置を発注、制作します。

従来の矯正装置は、レディメイド品になります。つまり、大量生産された既製品であるブラケットと呼ばれる装置を使用しています。


オーダーメイドによって作られた医療機器は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)では、医療機器に該当しません。

つまり、マウスピース型矯正装置(インビザライン)に代表されるマウスピース型矯正装置における治療の治療結果や治療中のトラブルは、担当する歯科医師に委ねられます。


マウスピース型矯正装置を受ける際、どの歯科医院でも受けても、治療が担保されていることになりません。

最新の矯正治療であるメリットがある一方で、トラブルがあった場合も考慮して、治療をするかしないかを判断しないとなりません。

矯正治療に対する専門的な知見、経験を有する歯科医師に相談することが重要になります。

1.“医療機器”としては未だ未承認ですが、材質の認可は下りています。

2.米国ではアメリカ食品医薬局が“医療機器”としても認可が下りています。

記事監修:堀井和宏先生
ほりい矯正歯科クリニック

日本矯正歯科学会:臨床指導医(旧 専門医)
日本舌側矯正歯科学会
American Association of Orthodontists
住所:滋賀県大津市粟津町4-7
電話:077-533-3741
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