インビザラインで歯茎が下がる、歯肉退縮とは

透明で目立ちにくいマウスピース型矯正のインビザライン矯正は、大人の歯列矯正として大変人気があります。最近インビザライン矯正で歯茎が下がる【歯肉退縮】が問題になっています。今回は、【歯肉退縮】とは、歯の基本構造や歯の動くメカニズム、インビザライン矯正とは、インビザライン矯正での【歯肉退縮】のリスクについてお話します。

歯肉退縮と歯の構造

歯肉退縮とは

歯肉退縮とブラックトライアングル
【歯肉退縮】イメージ@orthosupport.inc

歯肉退縮とは、歯の根元が見えてしまうことです。歯の根元が露出することで知覚過敏や、虫歯や歯周病のリスクが高くなる可能性があります。歯ぐきが下がった部分は歯と歯の間に、「ブラックトライアングル(黒い三角形)」として現れ見た目が気になる方も多いです。

歯肉退縮の原因は、過度な強さのブラッシング、歯周病や加齢が主な原因です。インビザライン矯正に限らず、大人の矯正歯科治療を行う際のリスク要因としても挙げられています。矯正力が強すぎることや、過剰な拡大によって起こることがあります。インビザライン矯正の【歯肉退縮】がなぜ問題なのか?について、歯の構造からおさらいしていきます。

歯の基本構造

歯の基本構造
歯の基本構造のイメージ@orthosupport.inc
歯(歯冠)は歯槽骨に支えられています
歯と歯槽骨は歯根膜によって結ばれています
歯槽骨は歯肉に被われています
歯槽骨の土台となる部分は歯槽基底といいます

歯の動くメカニズム

歯槽骨の吸収と新生によって歯が動くメカニズム
歯の動くメカニズム@orthosupport.inc
動かしたい歯に矯正装置で適度な力を加え、歯根膜を圧迫します
骨を溶かす細胞(破骨細胞)が現れます
反対側の引っ張られる歯根膜には、骨を作る細胞が出来ます
骨を溶かす細胞と骨を作る細胞の働きで、歯根膜がもとの厚さに戻ります
吸収と新生が繰り返されることで、少しずつ歯が動きます

歯を動かすときに大切なポイントは、歯槽基底の範囲で歯を無理なく動かすこと歯槽骨の厚さを考慮することです。また、治療後の歯並びと咬み合わせのデザインをイメージしながら、矯正装置で加える力の強さ、方向、力の作用期間や分布等を相互的に働く力の関係の原理に従って、歯の動く方向や傾きを予測することが大切です。

インビザライン矯正と歯肉退縮

【歯肉退縮】は歯列矯正治療において起こりうるリスクの一つです。インビザライン矯正だけが特別起こるというわけではありませんが、比較的トラブルになりやすいとされています。その理由についてお話します。

インビザライン矯正とは

インビザライン矯正とは、マウスピース型矯正の一つでデジタル矯正とも呼ばれています。ほぼ透明で目立たなく気軽に歯並びを治せることで人気の治療法です。

治療の流れを簡単にお話します。

初診時
レントゲン撮影、歯の型取り(デジタルスキャン(アイテロ)もしくはシリコン印象)をします。
治療方針、治療計画の作成
患者の歯の型のスキャニングデータをもとにコンピュータ上で歯の移動をシミュレーションし、治療計画を立てます。その結果から、歯が約0.2ミリずつ移動するよう10~50段階に分けて、それに合致した厚さ約0.3ミリの透明なマウスピース型の”アライナー”を作成します。
歯科医師だけでなく患者も予測される歯の最終位置や治療期間等をWEB上で確認することが出来ます
治療開始
カスタマイズされたアライナーを毎日装着(1日最低22時間)します。1~2週間ごとに新しいアライナーに交換することで、歯の移動を行います。
通院
およそ4~6週間ごとに通院で経過観察します。
治療終了
歯の位置を安定させるためにリテーナーと呼ばれる保定装置をつけることがあります。

インビザライン矯正治療の流れは、ワイヤーを用いた歯列矯正治療とほとんど変わりはありません。次にどのような点が問題なのかをお話します。

インビザライン矯正における歯肉退縮のリスク

インビザライン矯正は、最新のテクノロジーを用いコンピュータでシミュレーションしながら矯正治療を進めていきます。非常に優れたシステムで日々変化を続けています。一方、ワイヤーのベンディング等の高い技術力を必要としない点で、矯正の専門知識を有していない歯科医師も多く参入しています。そのため経験の少ない歯科医師が、コンピューターでシミュレーションされる治療計画に頼りすぎ、トラブルになるケースが出てきています。

歯を動かす際には、歯槽基底の範囲で歯を無理なく動かすことが大切ですが、コンピュータ上のシミュレーションでは歯槽基底がないところまで自由に歯の移動が出来てしまいます。歯槽骨の厚さを考慮せずに矯正治療を進めてしまうと【歯肉退縮】などのトラブルにつながる恐れがあります。インビザライン矯正はワイヤーを用いた治療ではありませんが、歯列矯正治療に変わりはありません。インビザライン矯正においても、シミュレーション通りに歯が動くのか、抜歯の必要性があるのか、歯槽骨の厚さを考慮するなどの専門的な矯正の知識が問われます。トラブルになる前に歯列矯正のプロフェッショナルである【臨床指導医】【認定医】にお願いするのがベストな選択です。

歯肉退縮になったら

一度、【歯肉退縮】が起きると自然な回復は難しいです。インビザライン矯正で起こる【歯肉退縮】は歯根部を歯ぐきに戻すような動きを入れて回復を図りますが、元通りになる可能性は半分程度と言われています。外科的な処置で治るケースもありますが、すべてのケースが治るわけではありません。

歯列矯正の臨床指導医・認定医は、歯槽骨内での歯の移動と歯肉のラインは必ず考慮した治療計画を立てています。シミュレーション通りに治療が進んでいるのか、コンピュータに頼りすぎることなく豊富な技術と経験で治療を行います。【歯肉退縮】になりそうな場合でも、臨床指導医・認定医ならリカバリーが可能なケースもあります。

記事監修

ほりい矯正歯科クリニック|堀井和宏先生

日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)

滋賀県大津市粟津町4-7 ☎077-533-3741

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はインビザライン矯正で気になる【歯肉退縮】についてお話しました。「こんなはずじゃなかった」と後悔する前に歯列矯正の臨床指導医・認定医でのインビザライン矯正をお薦めします。

詳しくはこちらの記事から

インビザラインなら臨床指導医・認定医がお薦め|オルソキャリア
歯列矯正のスペシャリスト・臨床指導医とは?について説明しています。

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